東京23区 議員報酬ランキング(2023年調査)
ここでは、東京23区における議員報酬額の調査を行った。結論からいうと、議員報酬額は23区のなかでは大きな差はない。一般議員を比較すると、最大値は月額621,000円の江戸川区であり、最小は月額589,000円の中野区となっている。その差は、32,000円である。年収換算すると最大745万2000円、最小706万8000円(期末手当等を除く)。
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議員報酬ランキング
議員報酬額とともに、各自治体の人口から議員1人当たりの人口を算出した。人口は2023年1月1日時点の住民基本台帳の数値を用いている。 23全体では、議員報酬額に大きな差はないが、議員1 人あたりの人口には大きな差がある。議員1人当たり人口が最も大きい世田谷区は18,309人に対して、最も少ない千代田区は2,716人である。このことだけをみれば、議員1人当たり人口と議員報酬額は無関係のようにも見える。問題は、この議員1人当たりの人口が大きく異なるということは、有権者の1票の価値が大きく異なるということでもある。
- 第1位 江戸川区(議員定数44) 621,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:15,640人(2位)
- 第2位 葛飾区(議員定数40) 618,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:11,604人(9位)
- 第3位 千代田区(議員定数25) 618,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:2,716人(23位)
- 第4位 足立区(議員定数45) 615,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:15,336人(3位)
- 第5位 練馬区(議員定数50) 615,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:14,778人(4位)
- 第5位 北区(議員定数40) 615,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:8,844人(6位)
- 第7位 世田谷区(議員定数50) 614,700円 ⇒ 議員1人当たり人口:18,309(1位)
- 第8位 新宿区(議員定数38) 613,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:9,113人(11位)
- 第9位 大田区(議員定数50) 612,300円 ⇒ 議員1人当たり人口:14,569人(5位)
- 第10位 渋谷区 (議員定数34) 611,100円 ⇒ 議員1人当たり人口:6,747人(20位)
- 第11位 中央区(議員定数30) 611,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:5,802(22位)
- 第12位 港区 (議員定数34) 610,700円 ⇒ 議員1人当たり人口:7,695人(17位)
- 第13位 江東区(議員定数44) 610,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:12,111人(7位)
- 第14位 墨田区(議員定数32) 607,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:8,728人(13位)
- 第15位 台東区(議員定数32) 604,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:6,484人(21位)
- 第16位 豊島区(議員定数36) 602,100円 ⇒ 議員1人当たり人口:8,020人(14位)
- 第17位 品川区(議員定数40) 602,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:10,105人(10位)
- 第17位 荒川区(議員定数32) 602,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:6,775人(18位)
- 第19位 板橋区(議員定数46) 600,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:12,353人(6位)
- 第20位 目黒区(議員定数36) 596,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:7,740人(16位)
- 第21位 杉並区(議員定数48) 595,700円 ⇒ 議員1人当たり人口:11,891人(8位)
- 第22位 文京区(議員定数34) 595,400円 ⇒ 議員1人当たり人口:6,755人(19位)
- 第23位 中野区(議員定数42) 589,000円 ⇒ 議員1人当たり人口:7,943人(15位)
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23区の人口・議員定数・報酬・政務活動費
2023年3月時点における23区の人口、議員定数、議員報酬、議員1人あたりの人口、政務活動費の調査結果。
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23区議会議員1人当たり人口と議員報酬の散布図
議員報酬額は何を根拠に決定されるのであろうか。ここでは、23区議会議員1人当たり人口と議員報酬の散布図を作成した。これは、単純な考え方として議員1人が代表する住民の数が多ければ、議員としての仕事量が多くなるという考えからである。
上のグラフを見ると、全体として議員1人あたりの人口が増加するほど、報酬額も増加している傾向が見て取れる。議員報酬は客観的な根拠があって決められたわけではなく、議員1人当たり人口や近隣自治体議会を参照しながら、相互に調整を進めてきた結果と推測される。
図中の直線の上部分にある区は、議員1人当たりの報酬額が相対的に高い区であり、他方、直線の下部分にある区は相対的に低いと考えることができる。
この直線から乖離している自治体は以下のとおりである。
- 千代田区 ⇒ 議員1人当たり人口から考えると、相対的に議員報酬が多い
- 目黒区・中野区 ⇒ 議員1人当たり人口から考えると、相対的に議員報酬が少ない
このグラフのみからの判断ではあるが、千代田区議会の議員報酬が他の22区と比較して、相対的にかなり高いことには違和感をおぼえる。千代田区の事例だけからすると、議員1人当たりの人口の多寡は議員報酬額とは無関係のように見える。1人当たり人口が多かろうと、少なかろうと絶対額として議員報酬が確保されるということであろうか。千代田区の事例からは、仕事量ということではなく、議員報酬が「生活費」であるということが金額の根拠だとも考えられる。または、千代田区の税収額に見合った議員報酬額ということも考えられる。
議員報酬額の根拠は様々であろうが、議員1人当たり人口、つまり仕事量として考えることもひとつだと思う。
期末手当
議員の期末手当の計算方法について確認してみた。議会によって掛ける数値は異なるが、通常以下のような式で計算されている。
- 3月支給 月額報酬額×1.45×0.5(ヶ月)
- 6月支給 月額報酬額×1.45×1.5(ヶ月)
- 12月支給 月額報酬額×1.45×1.65(ヶ月)
たとえば、千代田区を例にすると以下のようになる。
『千代田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(平成24年改正)』より
- 3月支給 616,000×1.45×0.5(ヶ月)=446,600
- 6月支給 616,000×1.45×1.5(ヶ月)=1,339,800
- 12月支給 616,000×1.45×1.65(ヶ月)=1,473,780
※議員報酬の決まるプロセス
- 第三者機関である「報酬等及び区長等給料等審議会(略称;報酬等審)」にて審議
※「特別区人事委員会勧告」を踏まえた議論⇒人事院勧告から乖離した議論はなされない⇒人事院勧告が実質的な影響力を持っているとも考えられる
※審議会会議録は公開されている(例:千代田区における会議録リンク) - その内容を区長が条例提案
- 議会が議決
- 条例化