千代田区で議論された議員報酬と政務活動費の付け替え問題
2015年末に、千代田区議会議員の政務活動費(15万円)を関して、10万円を議員報酬に組み入れることを検討しているとメディアによって報道された(千代田区の審議会の答申に関連する報道)。
これを式で表すと以下のようになる。
議員報酬
616,000円+100,000円=716,000円⇒生活費(増額↑)
政務活動費
150,000円-100,000円=50,000円⇒議員活動のための費用(減額↓)
2016年3月現在の千代田区議会の議員報酬・政務活動費
項目 | 千代田区 |
人口 | 54,045人 |
議員定数 | 25人 |
人口/議員1人 | 2,162人 |
選挙後議員平均年齢 | 54.36歳 |
女性議員比率 | 20.00% |
議員報酬 | 議長:月額92万1,000円 副議長:月額80万6,000円 委員長:月額67万7,000円 副委員長:月額64万7,000円 議員:月額61万6,000円 【千代田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例】 |
政務活動費 | 月額 15万円 |
議会費予算 | 460,967千円(H28) |
議会費/人口 | 8,361円(住民1人が議会運営のために負担する金額) |
議会費/議員1人 | 19,067千円 |
この答申は、議会の機能を果たすための政務活動費(当然使い道の制約がある)を減額し、自由に使える議員報酬を増額するというものである。もちろん、地方議会議員の報酬に対する考え方は多様である。これは議員報酬を決定づける因子は議会によってさまざまということを意味する。
たとえば、議員報酬の決定要因のひとつである議員1人当たりの人口を見ても明らかである。千代田区と世田谷区の議員報酬はそれぞれ616,000円、613,200円であるが、千代田区は議員1人当たり人口2,000人、世田谷区は議員1人当たり人口17,000人である。
したがって、審議会の答申内容を批判をしても仕方がない(現段階で正解はないのだから)。審議会には学識経験者も含まれていると思われるし、審議会に昨今の議会改革の動向を考慮する義務があったかは不明である。
問題は、”このような答申に対して議員がどのような態度をとるか”ということだ。今回については、千代田区長は審議会の答申を見送ることを決めたとの報道があった。この答申がメディアに大きく取り上げられ、この変更への反対意見が多かったことが影響したと推測される。
しかし、もしメディアが取り上げなかったならば(千代田区民が知らないところで改正案が議会に提出されていたならば)、千代田区議会議員は反対したであろうか。市民の代表者である者、自分たちに利がある条例改正案であっても反対する気概を持ってほしいところである。