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代表制の限界と議員への不信感について

 今回は、代表制の限界と議員への不信感について考えてみる。

日本の地方自治は、二元代表制がとられ、その代表制にはいくつかの限界があることはこちらの記事に書いた。


 昨今、地方自治における二元代表制の形骸化、とくに議会の形骸化をうけて、地方公共団体の基本構造のあり方を含めた制度改革・地方自治法の抜本改正が議論されている 。

 しかし、いかに制度改革がなされようと、「便宜的に区切られた選挙区や国境を前提とする、制度化された代表制によって、その内部の人々が、特定の個人や集団によって一点の曇りもなく
代表されうるなどという幻想は、棄てた方がよい」、「どんな制度設計をしようとも、必ず代表というものは不十分にしか機能しない」(杉田,2006,p.8)と指摘されるように、完全な代表ということはありえない。

 地方自治法で定められている各種の直接請求、公聴会への出席、陳情など多様な方式は、もともと代議制や代表制という観念で表現されている間接民主制に内在する代表と民意との乖離を補正する役割として設定されたものではあるが、現実にはこれら制度的なチャネルだけでは代表制の形骸化は避けられず、議会と住民との間の理念と現実との乖離を克服することはできない。というか、ほとんどの議会では公聴会は開かれておらず、地方議員はこのような補完制度を活用していない。

つまり、地方議員は、限界を克服する努力をしていないように市民の目には映っているのではないか。そして、その姿に対して多くの人が、なんとなく危うさや怪しさを感じ取っているのではないだろうか。これは当然、不信感につながる。多くの市民は、自分たちの議会の議員定数や議員報酬・政務活動費の額を知っているわけではない。にもかかわらず、その削減を求める声が多い背景には、このなんとなく感じている怪しさがあると思われる。

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参考文献
杉田敦(2006)「自治体と代表制―競争としての代表=表象」自治体学会編『自治体における代表制』年報自治体学19.

 

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